【完結】ホイクメン!
「あ、そうだ!」




乳児室に入る直前、彼は何かを思い出したかのようにこう私に伝えてきたのだ。




「資格取ってすぐ就職したから、保育に関してはド素人です。

今日は手取り足取り教えて下さいね?」




そうだった!


彼はまだ保育士として働いた経験がないんだ。




他の保育士はまだこの事実を知らない。


だけど私は、面接に来た時の彼と園長との会話をわずかに耳にしていたから・・・。




「私もまだ経験が浅いので・・・。

でも、わからない事があれば遠慮なく聞いて下さい。」




頼りにされていると思うと照れ臭くなる。


私は俯いたまま、ゆっくりと乳児室のドアを開けた。
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