【完結】ホイクメン!
「あっ・・・!!」




思わず手を離してしまった私。


しかし信明先生はそのカゴを受け止め、軽々と持ち上げたまま奥の干し場へと向かっていく。




―――温かい手・・・。




再び昔の記憶が蘇る。




あの夜私に差し伸べてくれた手も、とても温かく優しさを帯びていた。


大きく温かいあの手は、大人になった今も変わらない。




「これ、ここに順番に干していけばいいんですね?」




信明先生はおしぼりを掲げながら、一番高い洗濯ロープに手を掛けている。




「あっ、はい!お願いします!!」




慌てて私も作業に合流する。


そして少し彼と距離を取りながら、低い位置にある物干しロープに次々とおしぼりを干していく。
< 80 / 485 >

この作品をシェア

pagetop