天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
 そうだよねぇ。人に言われなくても、あたしは自分で充分に自覚していたんだよねぇ。

 お姉ちゃんとあたしは違うんだってことをさ。

 分かり切ってた事なのに、なんであんなに人の目が気になっていたんだろう?


 あたしはあたしという人間。

 それ以上でもなく、それ以下でもなく、それ以外でもない。

 それでいいんだ。……ううん。


 それ『が』いいんだ。


 それをあたしは、自分で知っている。それが一番大事。

 そしてその事に気付かせてくれた、大切な人。晃さん。


 あたしの心は彼を想い、一面に咲き乱れる花のように香しく華やいだ。

 彼の爽やかな笑顔が心に浮かぶ。

 くすぐったいような、空に浮き上がるような、温かい幸せな気持ち。

 彼を想う、あたしの気持ち。


 一刻も早く彼に会いたい。会って、この気持ちを彼に伝えたい。

 彼はどんな顔で、なんて言うだろう。どんな言葉をあたしに贈ってくれるだろう?

 そして今度は、どんな美しい宝石の話をしてくれるだろう?


 あぁ、会いたい。会いたい。晃さん。

 すっかり心境の変化したあたしを見て、あなたはどんなに驚くかしら。

 喜んでくれるかしら。

 そしたらあたしは、笑いながらあなたに全てを……。


「あ、そういえば聡美ちゃん、晃さんからの手紙ちゃんと読んだ?」


 あたしのメルヘンモードをまるで見透かしているかのように、タイミング良く詩織ちゃんが言った。


「あ、う、うん。ちゃんと読んだよ」

「ねー、ビックリしたよねー。まさかだよねー」

「ビックリって、何が?」

「え? だから、海外移住の話」

「…………」


 え?


「海外……なんだって?」

「あれ? 手紙に書いてなかったの? 晃さん海外に移住するんだって」
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