天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「いいから早く行きなよ。急いでるんだろ?」
「はい! ありがとうございます!」
「お客さん、負けるなよ!」
空港に向かって走り出したあたしの背中に、運転手さんの威勢の良い声が追いかけてきた。
「絶対にあの男、逃がすんじゃねーぞ!!」
…………。
「はいっ!!」
大声で返事をしながら、あたしは両目が嬉し涙で潤むのを感じていた。
うん!! 絶対絶対、逃がさないから!!
息を切らし、道路を駆け抜ける。
全力で突っ走るあたしの額から汗が流れ、目に入った。
次々と流れてくる汗を腕でゴシゴシ拭う。当然、プレストパウダーだけのメイクは簡単に落ちてしまった。
凄い形相で走り続けるあたしの顔に、渋滞に嵌った車の中からたくさんの視線が突き刺さる。
見られてる。すごく注目されてる。
スッピンの、しかも傷物の顔をさらした女。
でも気にならない。そんなことはどうでもいい。
どうでもいいんだよ! あたしにとってそんなことは、もうどうだっていいんだ!!
目の前に空港が見えた時には、ゼエゼエ息が切れて心臓はバクバク波打ち、爆発寸前だ。
足はフラフラして病人みたい。顔も背中も汗みどろでダラダラ。
髪もボサボサ。たしか大学の学園祭のお化け屋敷で、こんなカツラ被ったっけ。
呼吸困難で意識がすぅっと遠のく。
も、もうあたし、走れ、ない。
いや! 走れないなら急ぎ歩きだ! 競歩よ競歩! さぁ腰をひねろー!
あたしは今にも倒れそうになりながら、正面玄関に向かって懸命に進む。
当然ながら周り中から、ものすごい不審な目で見られてしまった。
通報されて警備員に捕まったらどうしよう。捕獲されてる時間なんかないわ。
「はい! ありがとうございます!」
「お客さん、負けるなよ!」
空港に向かって走り出したあたしの背中に、運転手さんの威勢の良い声が追いかけてきた。
「絶対にあの男、逃がすんじゃねーぞ!!」
…………。
「はいっ!!」
大声で返事をしながら、あたしは両目が嬉し涙で潤むのを感じていた。
うん!! 絶対絶対、逃がさないから!!
息を切らし、道路を駆け抜ける。
全力で突っ走るあたしの額から汗が流れ、目に入った。
次々と流れてくる汗を腕でゴシゴシ拭う。当然、プレストパウダーだけのメイクは簡単に落ちてしまった。
凄い形相で走り続けるあたしの顔に、渋滞に嵌った車の中からたくさんの視線が突き刺さる。
見られてる。すごく注目されてる。
スッピンの、しかも傷物の顔をさらした女。
でも気にならない。そんなことはどうでもいい。
どうでもいいんだよ! あたしにとってそんなことは、もうどうだっていいんだ!!
目の前に空港が見えた時には、ゼエゼエ息が切れて心臓はバクバク波打ち、爆発寸前だ。
足はフラフラして病人みたい。顔も背中も汗みどろでダラダラ。
髪もボサボサ。たしか大学の学園祭のお化け屋敷で、こんなカツラ被ったっけ。
呼吸困難で意識がすぅっと遠のく。
も、もうあたし、走れ、ない。
いや! 走れないなら急ぎ歩きだ! 競歩よ競歩! さぁ腰をひねろー!
あたしは今にも倒れそうになりながら、正面玄関に向かって懸命に進む。
当然ながら周り中から、ものすごい不審な目で見られてしまった。
通報されて警備員に捕まったらどうしよう。捕獲されてる時間なんかないわ。