天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「うん。確かに聡美さんの言う通りだね。それが分かっているなら大丈夫だ」
「はい……反省します」
「でも俺、その場にいなくて本当に幸運だった」
「はい?」
「だって絶対、和クンに殴りかかって半殺しにしてたよ。うっかり前科持ちになるところだった」
思わずブッと吹き出して笑ってしまう。
晃さんはそんなあたしを恨めしそうな目で見た。
「笑いごとじゃないよ。それでなくても俺には、キミを守れなかった責任があるのに」
そしてあたしを切なそうに見つめる。
「守れなくて、ごめん」
あたしは微笑み、首を横に振った。
いいの。晃さんには全然責任の無いことなんだから謝らないで。
「あたしは大丈夫だから気にしないで下さい」
「そうだね。傷もほとんど消えてるみたいだし、本当に良かった」
「へ?」
傷が消えてる? って、言った?
消えてる……の? あたしの顔の傷?
あたしは自分の頬を指差し、晃さんに目で問いかける。
晃さんは普通に頷いた。
「うん、医者の説明通りだね。下の組織まで傷付いてないから、時間が経てば綺麗になるって」
医者の説明? そんなのされたっけ?
あの時は魂が崩壊状態だったから、人の話なんか右の耳から左の耳に、一直線に突き抜けていた。
でもそういえば、お母さんにパッドの張り替えしてもらう度に言われてたっけ。
『ずいぶん綺麗になったわね』って。
あたしに気を使ってくれている嘘だと思い込んでたから信じなかったけど。
あたしは指先で自分の頬の傷を確認する。
あ、ほんとだ。指に感じる違和感が無い。
傷を見るのが怖くて、ずっと目を逸らしていた。
だから、もう傷なんて治ってきていることにも自分で気が付かなかった。
あたしはいつもそうだ。
「はい……反省します」
「でも俺、その場にいなくて本当に幸運だった」
「はい?」
「だって絶対、和クンに殴りかかって半殺しにしてたよ。うっかり前科持ちになるところだった」
思わずブッと吹き出して笑ってしまう。
晃さんはそんなあたしを恨めしそうな目で見た。
「笑いごとじゃないよ。それでなくても俺には、キミを守れなかった責任があるのに」
そしてあたしを切なそうに見つめる。
「守れなくて、ごめん」
あたしは微笑み、首を横に振った。
いいの。晃さんには全然責任の無いことなんだから謝らないで。
「あたしは大丈夫だから気にしないで下さい」
「そうだね。傷もほとんど消えてるみたいだし、本当に良かった」
「へ?」
傷が消えてる? って、言った?
消えてる……の? あたしの顔の傷?
あたしは自分の頬を指差し、晃さんに目で問いかける。
晃さんは普通に頷いた。
「うん、医者の説明通りだね。下の組織まで傷付いてないから、時間が経てば綺麗になるって」
医者の説明? そんなのされたっけ?
あの時は魂が崩壊状態だったから、人の話なんか右の耳から左の耳に、一直線に突き抜けていた。
でもそういえば、お母さんにパッドの張り替えしてもらう度に言われてたっけ。
『ずいぶん綺麗になったわね』って。
あたしに気を使ってくれている嘘だと思い込んでたから信じなかったけど。
あたしは指先で自分の頬の傷を確認する。
あ、ほんとだ。指に感じる違和感が無い。
傷を見るのが怖くて、ずっと目を逸らしていた。
だから、もう傷なんて治ってきていることにも自分で気が付かなかった。
あたしはいつもそうだ。