天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「愛してる、聡美さん」

「あたしも愛してる。晃さん」


 あなたという人に、あたしは巡り合った。

 そしてこの目で見たあなたを信じ、あなたを選び、恋をした。

 すごいわ。あたしって見る目がある。

 しかも、運がある!

 最っ高の強運の持ち主よ! こんな素晴らしい最高級品を手に入れるくらいだもの!


 あたしはもう、二度と自分を卑下しない。

 人間だから落ち込んだり悩んだりはするだろうけど、自分で自分を貶める事は絶対にしない。


 晃さんの存在が、あたしを守ってくれる。

 指に、胸に、耳に寄り添い、揺れて輝き光を放つ宝石のように。

 あたしの全てを肯定してくれる彼が、あたしの傍にいてくれる。


「一週間、待っていて。帰ってきたらリミット切れたみたいにいっぱいキスするよ。溶けるくらい」

「晃さん」

「俺が戻って来るまでちゃんと覚悟しておいて。ほんとに蕩かすよ? キミの全身を」

「…………」

「その時はお預けも、待ったも無し。約束な? これはその証」


 再び交わる唇。

 そして唇から、強引に入り込んでくる滑らかで湿った彼の舌先。

 くすぐり、じらして、からかうように、初めての経験に戸惑うあたしの舌に絡ませ合う。

 やがて唇が離れて、あたしは恥ずかしさのあまり真っ赤になって俯いてしまった。


「あ、晃さん、あの、よく考えたら人前なんですけど」

「うん。だから今日はここまで。これ以上は帰国後のお楽しみにちゃんととっておくから」

「こ、これ以上? お、お楽しみって」

「すげえ楽しみ。逃げようとしても絶対に逃がさないよ。聡美」

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