天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
 鉄仮面の下の長年のコンプレックスがムクムクと頭をもたげる。

 決して見られたくない、恥ずかしい部分を悟られてしまったようで落ち着かない。


「聡美さんって、ものすごくのめり込んだり、一気に深刻に凹んだり、楽しそうだと思えば次の瞬間は悶絶したりで……」


 お尻の据わりの悪い思いでモゾモゾしているあたしに、晃さんは告げる。


「遊色効果みたいに次々と光って変化して、見ていて楽しいよ。ずっと聡美さんを見ていたいと思うくらい」


 あたしは伏せがちになっていた視線を上げて、晃さんを見た。

 あたしをずっと見ていたい? それって、どういう意味?


 またも反射的に言葉の真意を探ろうとするあたしの目に、晃さんの表情が映る。

 いつもと変わらない爽やかな笑顔で、でも瞳の奥に恥ずかしそうな色を湛えて。


「聡美さんってすごく興味を惹かれるんだ。俺はキミを……」


 一瞬だけ彼は視線を逸らして、そして思い切ったようにあたしに言った。


「キミを、20倍鑑定ルーペのピンポイントで覗き込んでみたい!」


 …………。


「はい?」

「だから、20倍の鑑定用ルーペでキミを……」


 あたしを? 鑑定用ルーペがどうしたって?

 そもそも、なんでここで出てくる? 鑑定用ルーペの存在が。
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