天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
お蔭でそれからしばらくの間、あたしは上機嫌で日々を過ごしていた。
相変わらずお父さんはデリカシーが無いし、詩織ちゃんは自己アピール満々だし、お姉ちゃんは限りなく美しいけど。
胸元のエメラルドがあたしの味方。これがあれば大抵のことは笑って片付けられる。
そんなある日、詩織ちゃんが専務室に呼び出された。
詩織ちゃんは不安そうな顔で嫌々向かったけれど、すぐに飛んで戻って来てやたらと興奮している。
「ねえねえ聡美ちゃんどうしよう! 困っちゃったー!」
「どうしたの? なにかあったの?」
「今度、宝石商会組合で展示会が開かれるでしょ!?」
地元の宝飾店の協同組合があるんだけれど、そこで年に一回、大きな展示会を開いている。
組合の加盟店が協力し合い、様々な種類の宝石を用意して展示し、即売もしている。
個々のお店が単体で開く展示会とは違って、なかなかハイグレードな内容だ。
今年の展示会がもう間近に迫っていて、その準備に追われてお店は慌ただしい雰囲気になっていた。
「その展示会でさ、あたしにモデルになって欲しいってー!」
「モデル?」
「うん! 目玉商品のジュエリーを身につけて欲しいんだってー!」
興奮しながら話す詩織ちゃんの説明は、こうだった。
展示会では毎年ひとつふたつ、客寄せパンダのように高額なジュエリーを用意する。
今回の目玉はサファイアとルビー。ふたつを合わせると余裕で一千万円越えするらしい。
それを身につけて展示会場でお客様をお迎えする、通称『プリンセス』と呼ばれるモデル役に、今年は詩織ちゃんが選ばれたというのだ。
相変わらずお父さんはデリカシーが無いし、詩織ちゃんは自己アピール満々だし、お姉ちゃんは限りなく美しいけど。
胸元のエメラルドがあたしの味方。これがあれば大抵のことは笑って片付けられる。
そんなある日、詩織ちゃんが専務室に呼び出された。
詩織ちゃんは不安そうな顔で嫌々向かったけれど、すぐに飛んで戻って来てやたらと興奮している。
「ねえねえ聡美ちゃんどうしよう! 困っちゃったー!」
「どうしたの? なにかあったの?」
「今度、宝石商会組合で展示会が開かれるでしょ!?」
地元の宝飾店の協同組合があるんだけれど、そこで年に一回、大きな展示会を開いている。
組合の加盟店が協力し合い、様々な種類の宝石を用意して展示し、即売もしている。
個々のお店が単体で開く展示会とは違って、なかなかハイグレードな内容だ。
今年の展示会がもう間近に迫っていて、その準備に追われてお店は慌ただしい雰囲気になっていた。
「その展示会でさ、あたしにモデルになって欲しいってー!」
「モデル?」
「うん! 目玉商品のジュエリーを身につけて欲しいんだってー!」
興奮しながら話す詩織ちゃんの説明は、こうだった。
展示会では毎年ひとつふたつ、客寄せパンダのように高額なジュエリーを用意する。
今回の目玉はサファイアとルビー。ふたつを合わせると余裕で一千万円越えするらしい。
それを身につけて展示会場でお客様をお迎えする、通称『プリンセス』と呼ばれるモデル役に、今年は詩織ちゃんが選ばれたというのだ。