天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
「……すみませんけど、ちょっと最近忙しくて」
気付けばあたしは、沈んだ声で晃さんの誘いを断っていた。
『別に急ぎじゃないんだ。聡美さんの時間が空いた時にでも行かない?』
「すみません。本当に忙しくて、いつ時間がとれるか分からないんです」
『…………』
「本当にすみません。ごめんなさい」
ほんの一瞬だけ流れる沈黙の時間が、ものすごく長く感じる。
ごめんなさい晃さん。でも……。
『そうか、それなら仕方ないね。またいつか一緒に行こう』
「はい」
『忙しい時に、ごめん。それじゃまた』
「はい。それじゃ」
電話を切って、あたしは静かに思う。
また、なんてもう二度と無いだろう。晃さんはもう、誘ってなんてくれないだろう。
もちろんそれはとても残念だし、すごく寂しいし、本当に悲しいけれど。
でも、もしこのままどんどん親しくなっていったとしても、どうするのよ?
そしたら彼はいずれ必ずお姉ちゃんの存在を知ってしまう。
まさに美しく輝く天然宝石のような姉を見た時、宝石鑑定士である晃さんの反応は?
想像するだけで胸が痛い。
子どもの頃から何度も味わってきた、心臓の中に異物が入り込んでしまったような鋭い痛みが襲ってくる。
こんな痛みを胸に抱えたままではとても耐えられない。
またあんな苦しい思いをさせられるくらいなら、拒絶してしまった方がよほど楽だ。
だから、こうするのが一番いいんだ。
今まであたしが男性達にとってきた態度のように、晃さんから距離を置いてしまうのが一番いい選択なんだ。
そうに決まっているんだ。
気付けばあたしは、沈んだ声で晃さんの誘いを断っていた。
『別に急ぎじゃないんだ。聡美さんの時間が空いた時にでも行かない?』
「すみません。本当に忙しくて、いつ時間がとれるか分からないんです」
『…………』
「本当にすみません。ごめんなさい」
ほんの一瞬だけ流れる沈黙の時間が、ものすごく長く感じる。
ごめんなさい晃さん。でも……。
『そうか、それなら仕方ないね。またいつか一緒に行こう』
「はい」
『忙しい時に、ごめん。それじゃまた』
「はい。それじゃ」
電話を切って、あたしは静かに思う。
また、なんてもう二度と無いだろう。晃さんはもう、誘ってなんてくれないだろう。
もちろんそれはとても残念だし、すごく寂しいし、本当に悲しいけれど。
でも、もしこのままどんどん親しくなっていったとしても、どうするのよ?
そしたら彼はいずれ必ずお姉ちゃんの存在を知ってしまう。
まさに美しく輝く天然宝石のような姉を見た時、宝石鑑定士である晃さんの反応は?
想像するだけで胸が痛い。
子どもの頃から何度も味わってきた、心臓の中に異物が入り込んでしまったような鋭い痛みが襲ってくる。
こんな痛みを胸に抱えたままではとても耐えられない。
またあんな苦しい思いをさせられるくらいなら、拒絶してしまった方がよほど楽だ。
だから、こうするのが一番いいんだ。
今まであたしが男性達にとってきた態度のように、晃さんから距離を置いてしまうのが一番いい選択なんだ。
そうに決まっているんだ。