天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~
突然、晃さんがアメジストをあたしに向かってポンッと放り投げた。
あたしは慌てて両手でキャッチする。
「それ、聡美さんにプレゼントするよ。それ持って効果が本当にあるかどうか確かめてみよう」
「は?」
「んー、つまり」
晃さんがあたしを見て、意味あり気に微笑んだ。
「食事だけじゃ、ダメ。その後、お酒にも付き合って」
「…………」
「夜の時間も俺に付き合ってってこと。じゃなきゃOKしないよ?」
…………。
心臓が、ドキドキして、キュッとして、不規則に暴れている。
夜の、時間……?
あたしは軽く口を開け、晃さんの笑顔を見ていた。
優しくて爽やかで、だけど、どこか意地悪で少しだけ妖しさの混じった彼の表情を。
「いいよね? でもまずは足の怪我の状態が落ち着いてからだな。聡美さん、まだ痛い?」
「い……」
痛いんだか痒いんだかくすぐったいんだかどうなんだか、もう……。
「俺が誘う時、いつもキミは体調不良だね。なんだか心配だな」
「…………」
「怪我、大事にしてね。悪化して約束がお流れなんて事になったら、今度こそ俺マジで凹むから」
あたしは、彼を見つめたまま返事もできない。
会場内は相変わらず盛況で、すごくざわついている。
詩織ちゃんの明るい弾けた声が風に乗って聞こえてくるけど、あたしの中までそれは全然届かなかった。
あたしの中は、今、この微笑みで一杯だから。
あたしを見つめる晃さんの微笑みで一杯でもう、なんの余裕もないから…………。
あたしは慌てて両手でキャッチする。
「それ、聡美さんにプレゼントするよ。それ持って効果が本当にあるかどうか確かめてみよう」
「は?」
「んー、つまり」
晃さんがあたしを見て、意味あり気に微笑んだ。
「食事だけじゃ、ダメ。その後、お酒にも付き合って」
「…………」
「夜の時間も俺に付き合ってってこと。じゃなきゃOKしないよ?」
…………。
心臓が、ドキドキして、キュッとして、不規則に暴れている。
夜の、時間……?
あたしは軽く口を開け、晃さんの笑顔を見ていた。
優しくて爽やかで、だけど、どこか意地悪で少しだけ妖しさの混じった彼の表情を。
「いいよね? でもまずは足の怪我の状態が落ち着いてからだな。聡美さん、まだ痛い?」
「い……」
痛いんだか痒いんだかくすぐったいんだかどうなんだか、もう……。
「俺が誘う時、いつもキミは体調不良だね。なんだか心配だな」
「…………」
「怪我、大事にしてね。悪化して約束がお流れなんて事になったら、今度こそ俺マジで凹むから」
あたしは、彼を見つめたまま返事もできない。
会場内は相変わらず盛況で、すごくざわついている。
詩織ちゃんの明るい弾けた声が風に乗って聞こえてくるけど、あたしの中までそれは全然届かなかった。
あたしの中は、今、この微笑みで一杯だから。
あたしを見つめる晃さんの微笑みで一杯でもう、なんの余裕もないから…………。