地球を守って!恋するヒーロー
「ねえ、やられたらやり返したくなるよね?
この子だって、俺たちが月の宇宙人を連れていったのを覚えていて、将来復讐したくなるかもしれないよ」


「だけど、こんなに小さいんだから、きっと覚えてないよ」



アシュリーは優しく私を諭すように、柔らかい微笑みを見せる。

確かにこの子が大きくなって、知恵をつけて、力をつける可能性も否定できないけど、こんなに小さい頃のことって覚えてるものなのかな?

私は、はいはいしてた頃の記憶なんてないけど......。



「それはどうかな?
憎しみは、全ての争いの元だよ。

復讐されるのを防ぐためにはどうしたらいいと思う?」


「それは、話し合いでどうにか解決するとか?」


「うん、そうできたらいいね。
だけど、もっと簡単な方法があるよ。

復讐されないように、未来の復讐の芽を全て摘んでしまえばいい」



だからさ、念のために殺しておこうよ、と何でもないことのように言うアシュリーに、思わずぞっとした。

そのアメジスト色の瞳が、ひどく冷たく光っているように見える。


アシュリーは研究所に馴染んでいるように見えて、私たちと目的も同じだけど、それでもやっぱり犯罪組織のリーダーをやっていた人なんだ。

目的のためなら、ためらいなく小さな命も殺すことができる。

私とは違う世界で生きてきた人。
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