地球を守って!恋するヒーロー
「美しいお嬢さん、夜の一人歩きは危険ですよ」



月を見上げてセンチメンタルになっていた気分も、不安も、全てぶち壊してくれたのは、こんな切ない夜には似つかわしくない調子の良い声だった。



「そっちこそ。こんな時間に何してるの?」



声がした方を見れば、そこには予想通りの人物。

自称正義のヒーロー。


御堂先生の話を聞く限りだと、自称、じゃないのかな......。

この人も不思議な力を使っていたし、サイキックってやつなのかも。



「俺は美しい女性たちが危険な目にあってないか、夜のパトロール?
ヒーローに休みはないのさ」


「......おつかれさま。
大変なんだね、ヒーローって」



キラーンという効果音がつきそうなくらいに白い歯を見せて笑う彼は、やっぱり悪と戦うヒーローとはとても思えないくらいに軽い。



「パトロールにきて正解みたいだ」


「何か収穫でもあったの?
それとも美女を襲う悪者でもいた?」



半分、ううんだいぶ呆れながら、適当に彼の話に合わせてあげていると。

近づいてきて、人差し指で私の目の下をぬぐった。


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