地球を守って!恋するヒーロー
「サイキックは、何かのきっかけで自然に力に目覚めて、手術を受けることで力を自分のものにできる。

でも俺は力に目覚める前の段階から、人の手が加わっているんだ。
全ての段階で、人造でサイキックに作り上げられた唯一の成功例ってわけ。

まさに選ばれしヒーローって感じでかっこいいだろ?」



彼は親指を立てて、ニッと笑ったけど、とてもかっこいいねと言う気分にはなれない。



「なんでそんな、自分から危険なことを。
死んじゃうかもしれないんだよ」


「そうだね、だけど俺には夢が、やりたいことがある。そのためにはこの力が必要なんだ。

それが叶わないのなら、俺は生きてないのと一緒だ」


「そう、なんだ。
どんな夢なの?」


「俺の夢?知りたい?」



知りたいと頷けば、彼は遠くを見るような目をする。

月明かりに照らされた彼の横顔は相変わらず笑みは絶やしていないものの、なんだか寂しそうに見えた気がした。
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