恋ごころトルク
 よし、がんばる。光太郎さんがどうこうよりも、格好良いバイクに乗りたいし、自分を前に進めたい。大人になってからの、チャレンジだ。それがたまたま二輪免許なだけ。きっかけは光太郎さん。ものごとを始めるにはじゅうぶんだよ。
 
 気持ち良いんだろうな。乗れるようになったら感動だろうな。想像するだけで興奮する。

「日替わりは今日は何ですかー?」
「ええと今日は……」


 そうだ、100円ショップに行かなくちゃ。軍手とホワイトボードか黒板、買わなくちゃ。「二輪教習には、グローブか軍手をして」って自動車学校サイトに書いてあったから。家に軍手が無いもん。

 英語や簿記、就職に有利な資格取得とかじゃないけれど、あたし自身がレベルアップするよ。こんな楽しいことって無いよ。

「店の裏で、練習しよう」

 光太郎さんの言葉を思い出すと、ニヤニヤしちゃう。がんばる。あたしがんばるよ。

「注文入りましたー」

 自分がバイクに乗っているところを想像すると、体の芯がむずむずした。

 *

< 20 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop