恋ごころトルク

 申込と適性検査、あと入校式が16:00からだそうだ。適性検査が終わってから、入校式まで2時間くらい空いてしまう。お昼でも食べに行こうか……それでも時間余っちゃうけど。

 証明写真を持っていなかったので奥で撮影をし、視力検査、別室での適正検査や説明などを受けて、学生気分を味わったあと、疲れた脳みそのまま2時間の自由時間に放り出された。

 受け取った教習手帳を見てみる。二輪教習の注意事項には「ヘルメット、バイクシューズ、グローブ、軍手など」と書いてある。軍手はあるけど、ヘルメットが無い。貸し出しはするみたいだけど、自分のを被ってやりたいなぁ。知らない人が被ったやつはちょっと……。

「……」

 ここの自動車学校、アパートやサクラクックから近いとはいえ、大通りに面しているわりに、まわりにコンビニもカフェも無いんだよな。せめてファミレスがあれば良かったのに。

 自動販売機でパンや飲み物は売っているものの、それを待合いスペースでモソモソと食べるのも虚しい。どこかでお茶したいんだけど。

「あー……そうか」

 もちろん今日も自転車で走ってきた。お天気も上々。
 じゃあ、一番近いお蕎麦屋さんに行って(道路に出ると看板が見えるし)食べ終わったらそのままミナセに行ってみようかなぁ。行って帰ってくるのに、1時間見ればちょっと覗いてみて、ああそうだ、ヘルメットも買わなくちゃいけない。

 あたしは自動車学校から出て駐輪場へ向かった。コースでは青いバイクと白いバイクが走っていて、先生が先頭に居たり後ろに着いていたり。あたしもああいう風にやるんだろうな。ドキドキする。でも、みんな気持ちよさそう。その前に、乗れるのかな……自転車しか乗ったことが無いというのに。

 自転車に跨り、道路へ出る。お蕎麦屋さんはミナセと反対側だけど、とりあえず行って、腹ごしらえ。だって凄くお腹が減ってる。減りすぎて頭痛がする。

 お蕎麦屋さんへ向かっている間、色んなことを考えて想像して、不安になったりドキドキしたり。

 お店の人に自転車を止めても良いか許可を取り、忙しく席に着く。かけ蕎麦で良いかな。お腹は空いているけれど、脂っこいものを食べたいわけじゃないの。難しいお年頃だよね。

 頼むとすぐに出てくるかけ蕎麦。時期的には冷たいお蕎麦でも良さそう。

 店内のテレビでは、お昼のバラエティをやっていて、あたしの他におじいさん、あとスーツ姿の男性3人組。どこかの病院の人なのか、白衣の上にカーディガンの女性が2人。

 ぼんやりしていると時間はすぐ過ぎてしまうから、あたしは急いでかけ蕎麦をすすった。

「あっつ」

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