恋ごころトルク
「こんにちわー」
きょろきょろしてると、常連のおばちゃんが来店。傘の水滴を払いながら入ってきた。いけない、お客さんは待ってくれない。
「あ。いらっしゃいませ」
「雨だねぇ」
注文を受けて、厨房に伝える。伝票に書いた文字が震えている。
こんな展開になるなんて。光太郎さんの気まぐれ……だと思うけど。あたし今日、あんまり可愛い格好して来なかったのに。1回帰って着替えしたい。
悶々と考えていると、次のお客さん。ああ、ちょっと待って。少し考えたいのに。
注文を取っている間に、また次のお客さんがサクラクックに入ってくる。
やだもう帰りたい。お茶を飲みながら、休憩したい……。笑顔はきっと、強ばっていたに違いない。
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