海底の王国〈封印編〉
「えっと…」

フレイルは、いさぎよい二人の態度に胸を打たれると、言葉をつまらせた。

つまりそれは、危険を承知で、この国から出て行こうとする人間を見捨てるという事を意味していた…

「どうします〜陛下?せめて今出て行くのは、止めた方が良くないですか〜?夜は邪気も強まりますし…日が出るぐらいまでは、うちの魔法士たちも持ちこたえてくれると思いますよ〜?」

心がグラグラと、ゆれているフレイルを見透かして、ルドは中間案を提示した。

「そ、そうですね…日が出るぐらいまで、でしたら…」

「ふっ…日の光程度で、姫の怨念が薄まるといいがな…」

「え…」

イースがボソリと、そんな事を言った。

フレイルの心に、ゆさぶりをかけているのは明白だ…

「ないよりはマシでしょ〜?明日一番に、うちの騎士隊に送らせますので…よろしいですか?ラギ殿、シアン殿…」

「ありがとうございます、ルド殿…」

二人は、お礼を言った。

「あ…あの…」

ついにフレイルが完全に固まり、思考が停止した…
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