海底の王国〈封印編〉
しばらく打つ手もなく、その状態はつづいた。

「…邪気があるうちは、この中には入れんようじゃの〜」

クメカが、冷静に分析する…

「…どう、収拾をつけましょうかね〜姫にずっとああしていられても、困りますし…やっぱり、出て行って頂けませんか?クメカ殿」

「ダメ〜!!」

フレアとユラが、すかさず叫んだ。

「…その心配は無用じゃ…この国の魔法士よ…」

「え…?」

「これは、これは…マジェンタ姫…」

ルドは天井のステンドグラスから、ゆっくりと降りて来る光の玉を見つめ、うやうやしく胸に手を当てると頭を下げた。

「え?このひかりが、ひめなの?」

フレアは、美しく光る白い玉に見とれた。

「この国の姫か…迷惑はかけない…用がすんだら、すぐに出て行く…」

その光はそう、フレアに語りかけた。

「…マジェンタ姫…ビクス王国の末えいをタタリに来たのかの〜?」

光の姿をしたマジェンタ姫の魂に、クメカは話しかけると目を細めた。

「…ほぅ…珍妙なものに、封じられたものじゃの〜?…そうだ…と言ったらどうするのじゃ?」

「…」
< 72 / 81 >

この作品をシェア

pagetop