海底の王国〈封印編〉
「ラギ…おぬしの封印は、わしが解こう…」

マジェンタ姫の魂が入ったフレアがラギに近づくと、その体を両手で包み込んだ。

そして解除の呪文を唱えた瞬間、手の中が光るとフレアはゆっくりと両手を開いた。

その場にいる全員が、息をのんでフレアの手の平を見つめた先には…

横たわる、タツノオトシゴの姿があった。

「…しんで…るの?」

ユラが沈黙に耐えられずに、そう呟いた。

「いや…」

ロイズが、後ろにしがみついているユラに答えた。

フレアがニッコリ微笑むと、タツノオトシゴから光の玉がフワリと浮かび上がり…

体から抜けると、タツノオトシゴはむくりと起き上がって、何事もなかったように泳ぎはじめた。

「…ただの、タツノオトシゴに戻ったのじゃよ…姫、体を貸してくれてありがとう…ラギ、行くか…」

「はい、姫…」

マジェンタ姫の魂が入ったフレアが大人びた表情で、ラギの魂の化身である光の玉に声をかけると、フレアの体が突然崩れ落ちた。

「あぶない…!」

とっさに動いて、ロイズはフレアの体を支えると、マジェンタ姫の魂をにらみつけた。
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