【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
理香と沙知は杉村とは中学校が同じで、同じクラスにもなったことがあった。
そこで目を付けられたのが、理香の彼氏の木下健之(キノシタ タケユキ)だった。
彼は、サッカーをしていて、ルックスもいいし、性格も申し分ないということで、かなり人気があった。
杉村は、木下が他の女の子と歩いていたと嘘をついたり、彼に近づき、色仕掛けでおとそうとしたり、さまざまなことをして、自分の方に向けようとした。
その度に木下と理香は喧嘩をし、別れ話をすることもあったそうだ。
ただ木下は、どんなに誘惑されようが杉村には目もくれなかった。
結局は、杉村のお陰で二人の絆が強まっただけだった。
「あれってさ、杉村さんが猿渡(さわたり)先輩に構ってほしかったっていう噂もあったよね」
沙知が理香の方を向き話す姿は、冷静そのものだった。
―――サワタリ先輩??
またもや新しい人物の登場に杏子は少々困惑していたが、必死でついていこうとしていた。
「そうそう、猿渡先輩ってのは、杉村さんの幼なじみで、今はうちの高校の2年生なんやけど、中学校が一緒やねん」
理香が杏子に説明すると、沙知も続けた。
「高校が同じなのも、杉村さんが、猿渡先輩を追い掛けたって話もあるんよ。
それで、噂ってのが・・・当時女遊びが激しかった猿渡先輩のことが好きだった杉村さんは、学校でも1、2を争うくらいモテてた木下くんと一緒にいるところを見せびらかせて、先輩の気を引こうとしてた、って内容」
沙知と理香はため息をついて、ジュースを飲んだ。
―――好きな人の気を引こうと・・・そんなことを・・・。
杏子は、あらためて、杉村がしていたことの汚さには嫌気がさした。
「杏子も気をつけなよ」
理香が杏子に言ったその言葉は、冗談でもなんでもないということが、彼女の表情でわかった。
「そう杏子、眞中くんと話してることあるから・・・心配してたんよ」
「・・・・・・」
「あの女、面食いやからね」
理香の言葉に沙知も頷いていた。
―――理香も私とあいつが話してるのを見たことあるんやぁ。それだけあいつが目立ってることやね・・・。
「それにしても、杉村さんが眞中くんに相手にされてない姿を見たら、笑えてくるよな?」
さっきまで怒っていた理香が、表情を変えていた。
「確かにね。取り入ってもらえてないからね・・・。着信拒否って感じよな・・・」
「沙知、さっすが、うまいなぁ。
それにしても、眞中くんっていつもあんな女の子に興味ない感じなん?
唯一、女の子と話してるのを見たのは、杏子だけやもん」
―――あんな感じ・・・。
杏子は、教室でのあいつの姿を思い出す。
窓側の席に座り、女の子に囲まれて、少しだけ見える表情はいつもつまらなさそうで・・・佳祐すぐにどこかへいってしまう。
その席を離れるときだけ、笑顔・・・作り笑顔。
―――女の子に興味がないんじゃない・・・。
「あぁやって群がられるのが嫌みたい」
「そりゃそうやんな。あれだけいたらうっとーしいよな。ってか、杏子はやっぱり眞中くんと仲いいんや」
「仲がいいってことはないけど・・・」
急に俯いた杏子に、二人は優しい言葉を掛けてくれた。
「杏子、何か悩んでるんやったら、私たちでよかったら聞くよ」
「・・・ありがとう」
杏子は嬉しくて、今にも泣き出してしまいそうだった。
二人になら話せると思い、杉村に嫌がらせをされていることを話した。
最後の方は涙で何を話しているかわからない状態だったが、二人は真剣に聞いてくれた。