【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
「杉村!あの女、最悪やん!!」
理香は怒りを堪えることが出来ずにイライラしていた。
「突き落とすとか、犯罪やん・・・」
沙知も杉村の行動に引いていた。
「あの女なら手段は選ばんよ!そういう女やん。それより杏子、大丈夫?辛かったやろ?」
理香は、杉村に対する口調とは違い、杏子には柔らかい口調で聞いていた。
「それにしても、自分が相手にしてもらえないからって、杏子に当たるなんてね・・・」
沙知も、杉村の悪行に呆れているようだった。
「ほんま、どこまで腐ったら気が済むんやろうか・・・」
理香はイライラした様子で、目の前のモンブランを口に入れた。
「でもさ、今回は眞中くんのことが好きなんかな?それとも・・・」
杏子と理香は、沙知の言葉に耳を傾けた。
―――杉村さんがあいつのことは好きじゃない?
「猿渡先輩?」
理香が『まさか!』といった顔で出した名前は、ついさっき杏子も聞いた名前だった。
「猿渡先輩さ、彼女できたとか噂があったやん」
「あぁ、そういえばあったよね」
妙に納得顔の理香が腕を組んで頷いた。
「どっちにしても、何かあったら私たちに話してね」
「ありがとう」
二人の心強い励ましによって、杏子は自分一人で悩んでいたことがバカらしくなってきた。
「ところで、杏子は眞中くんが好きなん?」
突然、降りかかってきた質問に杏子のケーキを食べる手が止まった。
「理香はすぐ立ち入ったこと聞くんやから」
眉をひそめて、沙知は理香に注意をする。
「だってさ・・・沙知は気にならんの?」
理香は、口を尖らせて拗ねた表情をしながら、まだまだ諦められないという感じで、沙知に聞いていた。
「えっ?ちょっと気になるけど・・・」
「ほらね。ねぇ、杏子、どうなん?」
乗り出して聞いてくる理香に圧倒されながらも、二人への信用が杏子に話をさせた。
「・・・なんて言うか・・・。私には忘れられない人がいて・・・」
ゆっくり話す私を見守るように二人は黙って聞いていた。
「そうなんやぁ。じゃあ、沙知と一緒やね!」
理香がニヤニヤしながら沙知に視線を送ると、沙知は真っ赤な顔をして、
「だから、ちがうって!」
と否定したが、その表情は恋をする乙女の顔をしていることに杏子は気づいた。
―――こんなきれいな子でも叶わない恋があるんやな・・・。
自分と同じような恋をしている沙知が今まで以上に近くに感じた。