【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜


―――頭がガンガンする・・・割れそう・・・。


昨日の雨で杏子は見事に風邪をひいてしまい、朝から寝込んでいた。


―――めっちゃ、気分悪いし。38.5℃もあるし・・・。


「杏子、大丈夫?お粥食べる?」


「ありがとう」


杏子は、雅子が作ったお粥をゆっくりゆっくりと食べ、再び温もりの残るベッドに潜り込んだ。


―――はぁ、今日一日寝たら治るかな・・・。


しかし、願いも虚しく翌日の月曜日も熱は下がらずに学校を休むことになった。


―――美穂が心配するやろうからメールしておこう。


机の上に置いてあった携帯をベッドから手を伸ばして取ろうとしたら、持ち主のわからないハンカチが、ひらりと落ちた。

フローリングの上に着地したハンカチは、何もなかったかのように元の状態なのに、再び杏子の心を揺れ動かす。


「・・・あんたの持ち主は誰なん?」


―――答えるはずないやんな。ハンカチに問い掛けるなんて、熱でおかしくなったんかな。


何も言わないハンカチを拾い、再び机の上に置くと、代わりに携帯を手に取った。


誰にも構ってもらっていなかった白色の携帯は、熱のある杏子にはひんやりと感じた。




【風邪ひいて、熱が出てるから、今日は休みます。またノート写させてね!】



美穂からの返信はいつも早いので、携帯を持ち、待っていた。


案の定、携帯はすぐに杏子を呼んだ。



【なかなか来ないと思ったら、風邪なんや!ゆっくり寝て、いっぱい食べて、また寝るんやで〜!
ってか、英語の和訳見せてもらおうと思ったのにぃ!!】



美穂のメールに笑顔になった杏子は、さらに続けた。



【いつも他人を頼ってる罰です。今日は頑張りなさい!】



【はぁい。わかりました。】



―――今頃、泣きそうな顔しながら、周りの子に助けを求めてるんやろうなぁ。



美穂のあわてふためく姿を想像し、再び横になった。


アナログ時計の、チッチッチッという秒針が刻む音しか聞こえない部屋で目を閉じた。





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