【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
『じゃあ、俺の彼女になったらいいやん!』
「うわっ!・・・夢か・・・もう朝から最悪やし」
杏子は、朝から望んでいなかった夢を見てしまい、気分が落ち込んでいた。
しかも、目覚ましが鳴るだいぶ前に起きてしまったが、二度寝ができる心境でもなかったので、朝の支度を始めた。
落ち込んだ気分を変えるためにも、いつもより早く家を出た。
人通りも少ない。
雨上がりの少しひんやりする空気が清々しかったが、歩き慣れた道には、桜の花びらが散り落ちていて、お世辞にもきれいとは言えなかった。
―――気分が重い・・・何もかもあいつのせいや!あいつがあんなことを言うから・・・。非常識すぎるし!!
下を向いて歩いていると、悪いことばかり考えてしまいそうなので、空を見て歩くようにした。
駅から10分の道のりは、一人で歩くには少し長い。
他校の生徒が自転車で駅に向かう姿。
小学生が列を成して登校する姿。それを見守る母親たち。
新学期が始まって2週間経って、杏子にも少しだけ余裕が出て来て、周りが見えて来た。
まだ静かな下足場で靴を履き替え、人気の少ない廊下を歩き、教室へ向かう。
いつものように後ろのドアを開けると、対角線上の窓側に、1番見たくないものが見えた。