【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜



「ほんま、あいつありえへんって!何?あの男!」


健一は、食事中も怒りがおさまらずに、美穂と佳祐に愚痴っていた。


「ほんま、岡崎ちゃんにあんな男がいるとはな・・・」


「ちょっと、佳祐・・・」


事実を言わない佳祐に、美穂は小さな声で注意をしたが、佳祐が聞き入れることはなかった。


「やっぱりあれって、彼氏やんな?」


健一は、美穂の方を向いて聞いてきたが、美穂が答える前にあっさりと佳祐に先を越された。


「美穂も知らなかったみたいやからさ・・・直接本人に聞いてみるしかないんじゃないか?」


ようやく佳祐がしようとしていることがわかった。

佳祐の横顔を見ると、この状況を楽しんでいるようだった。


―――ちゃんと、ふたりで話をさせるつもりなんやね・・・いいところあるやん、佳祐。


美穂が佳祐を惚れ直していたら、健一から意外な言葉が発せられ、美穂と佳祐は驚いた。


「いい加減、諦めなあかんかな・・・」


敗北宣言ともとれる言葉を口にする健一の表情は、真剣だった。


「そうやね。諦めたら?」


「佳祐・・・」


諦めることを勧めるような言い方をする佳祐に驚きを隠せなかった。


・・・本気で言ってるん?あの二人を応援するんじゃなかったん?


そんな美穂の気持ちは気に留める様子もない佳祐は、一人だけ涼し気な顔をしていた。


「ただし・・・諦めることができるならな」


その言葉に俯き加減の健一も向かいに座っている佳祐の顔を見た。

その顔は、切なそうで、苦しそうで、誰かにこの現状から救って欲しいと言わんばかりの表情だった。


「諦めることができたらどんなに楽なんやろう」


ため息混じりの声で、伏し目がちに話す健一の姿を見て、美穂は安心すると同時に、二人の絆を見せ付けられたような気がした。


佳祐は、健一が諦めることができるはずがないってわかってて言った。


「まぁ、惚れた者の弱みやな」


そう言うと、佳祐は美穂の方をちらっと見て、笑いかけた。

それはまるで、自分も『同じ想いをしたことがあるんやで、知ってた?』とでも言っているようだった。


「惚れた者の弱みか・・・」


「とにかく、彼氏だろうが奪えばいいんじゃない?」


「でもさ・・・あいつの笑顔まで奪うようなことはしたくないし・・・」


俯きながら言う表情は真剣そのもので、杏子への想いの大きさが伺い知ることができた。


「とりあえず、話してみることやって!」


美穂も健一の背中を後押しするように、応援した。


「ありがとう・・・。俺さ、あの男に勝てるんやろうか・・・大学生かな?俺みたいにガキじゃなかったよな・・・」


確かに、言っていることはキザだったが、隆博くらいの男前に言われたら、夢中になってしまうかもしれないと思ったが、口が裂けても言えるはずがなかった。


「俺さ・・・てっきりあいつも俺の方を向いてるんやと思ったのに、あれは、俺に告白するんじゃなかったんやな」


健一の言葉から、杏子が想いを伝えようとしていたのがわかた。


―――やっぱり自分たちで解決しないと。私もあんなにあんな言い方をして悪かったな・・・。私も杏子に謝らないとな。


美穂がこんなことを考えている前で、健一は頭を悩ましていた。




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