【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
「なんかさ、あんたのことも見直したし」
そう言って健一の顔を笑顔で覗き込む杏子が目に入ると、健一は頭より先に口が動いていた。
「なぁ、俺と付き合ってくれへん?」
「・・・・・・」
杏子の顔が強張っていくのがわかった。
―――うわっ、しまった・・・。
健一は、先に自分の気持ちを伝えなかったことを後悔した。
杏子は、健一は美穂のことが好きだと勘違いしたままであることをすっかり忘れていた。
「結局、誰でもいいんやね・・・」
杏子は俯いて、込み上げてくる怒りを我慢していた。
「だから・・・」
「もういい!せっかく見直したと思ったのに・・・そう思った私がアホやったわ!!」
健一の言葉も飲み込むくらい大きな声で捨てるように言うと、立ち上がり、それ以上は何も言わずに走り出した。
杏子は出口に向かい走っていた。
―――はぁ・・・やってしまった。
誤解を解くために、健一は杏子をを追い掛けた。
混雑している遊園地の客を上手く避けて走っていく杏子を見失わないように。
杏子が出口を出たのはわかった。
―――やばっ・・・全然追いつかへんし。
健一が必死で追い掛けるも全く距離が縮まらない。
目の前には駅が見えている。
杏子が電車に乗ってしまったら終わりだった。
健一は、最後の力を振り絞り、走った。
『1番線に電車が入ります。白線の内側でお待ちください』
耳に入ってきたの、杏子が乗るであろう電車が到着するアナウンス。
―――くそっ!
健一は、倒れそうになりながら、階段を駆け上がり、ホームに立った。
目の前には電車にすでに乗っている杏子の驚いた顔があった。