【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜


健一が電車に飛び乗ったと同時にドアがゆっくりと閉まった。


「な、なんで来たんよ!」


「謝ろうと思って!」


「あんたの顔なんか・・・」


そう言った瞬間、二人は自分達が大声を張り上げて口喧嘩している様子をたくさんの乗客が見ているのに気付いた。


―――うわっ・・・恥ずかしい・・・。


二人は下を向き、お互い何も話さずに電車に揺られていた。


俺はまだ息が荒く話せる状態ではなかったが、杏子はケロッとしていた。



―――なんでこいつ涼しそうな顔してるねん。それより謝らんと・・・。



しかし、この電車では注目されすぎて何も話すことはできなかった。


健一の頭の中はどうやって謝るか、そして許してもらえるのかでいっぱいになっていた。


杏子が降りる駅に着き、一緒に降りる。


杏子の後を着いて行くが、話し掛けるタイミングを掴めないでいた。


その時、杏子の携帯が鳴った。携帯の画面に目をやるとため息をついた。



「美穂からで・・・今日は自由解散にしようやって」


「・・・・・・」


―――絶対俺らがうまくいったと思ってるし。


「ということで、私たちもここで解散ね」


「だから、話を聞けって!」


冷たく言葉を発する杏子に対して、健一はつい口調がきつくなってしまう。




「何よ偉そうに!あんたから何も聞くことなんてないし!」


そう言うとくるりと前を向こうとしたが、前から来た自転車に乗ったおじさんが、急に振り返った杏子に驚き、バランスを崩してそのままぶつかりそうになっていた。




< 45 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop