【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜



「じゃあ、ここに入って」


健一連れてきたのは、誰も来ることがない校舎の端にある資料室。


埃だらけでかび臭く、カーテンが閉められていて昼間というのに薄暗い。


健一は、こんなところに連れてこられて、警戒していた。


「大丈夫よ、襲ったりしないから」


健一と向かい合い、彼女は腕を組んで健一の表情を見ながら言った。


彼女の声色が変わったのに気づいたのか、健一は眉間に皺を寄せた。


―――回りくどい言い方は嫌い。


彼女は単刀直入に聞くと初めから決めていた。


「ねぇ、杏子ちゃんになんでキスしたの?」


「は?」


鳩が豆鉄砲喰らった顔とはこういうのなんだろうな、と彼女は思いながら健一の表情を見ていた。


健一は、彼女の予想外の質問に開いた口が塞がらなかった。



「ごめんね。紹介が遅れたわね。私は桜木華代。杏子ちゃんのいとこ」



「い、いとこ?」


健一は、さらに、目を見開き驚いていた。


突然クラスメートのいとこにこんなところに連れてこられて、あんな質問されてるんだから。


しかし、彼女にとってそんなことはどうでもよかった。


「で、なんでキスしたん?」



健一が動揺してるのが見て取れた。


いい加減な気持ちでななさそう、というのが彼女の印象。


しかし何も話し出す気配がないので、彼女は「とりあえず、なんか理由があるみたいやね。


今日は放課後時間ある?」と聞いた。


「は、はい」


「じゃあ、グレインっていうカフェで待ってるから、来るんやで!」


「はい」


半分脅すように言われたで健一は素直に頷くしかなかった。


彼女は、そう仕向けたのだから、乗ってきてくれないと困るところだった。


―――放課後、じっくり聞いてあげるから、覚悟してなさい!




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