【完結】Re-love 〜二度目の恋はあなたと〜
「はぁ〜疲れた」
彼女は、健一との話を終えると、会議室に戻って来ていた。
「お疲れ様。華代は相変わらずの人気やね」
そう笑顔で話すのは、華代の彼氏の相澤 悠(アイザワ ユウ)。
二人は、この学校の卒業生で、高校時代から付き合っている。
悠も華代と一緒に同窓会委員になっている。
つまり、健一と話をしていたのは、華代だった。
「で、眞中って男とは話できたん?」
作業する手を止めて、悠は聞いた。
その表情からして心配してくれていたのは華代にもわかった。
悠は、心配性でバイト先に男がいるだけで、「何もされてない?」と聞いてくるほどだ。
「うん。さっき、資料室で話して来たよ」
こんなこと言ったら、さらに心配するのがわかってて言っている華代も悪いと思いながらも言ってしまう。
「えっ、華代、二人きりで?」
案の定、悠は派手な音を立てながら立つと、華代を追求してきた。
「だって、廊下とかやったらみんなうるさいし」
「変なことされてない?」
―――ほらきた。何もされるわけないでしょ。
心配そうな眼差しで悠は華代の頭の先から足の先までチェックするように見ていた。
「変なことって・・・?」
華代は口角を上げて、上目遣いで悠に聞くと、ふふふと笑いながら、窓の方へ歩いた。
少し、意地悪をするつもりだった。
「・・・・・・」
「ねぇ、悠。ここから音楽室見えるんやね」
視線を悠から窓の外へ動かした。華代が懐かしそうに窓から見える景色を眺めていたら、急に後ろから悠に抱きしめられた。
「ゆ、悠?」
華代は、突然のことで、身動きがとれないながらも、悠の表情を見ようと身をよじった。
「・・・こんなことされてない?」
耳元で切なそうに言われて、くすぐったくて逃げようとしたが、悠の腕の力が強くて逃げることはできなかった。
「されてないから・・・」
「じゃぁ、こんなことは?」
唇を華代の首元に這わせながら言う声がやけにセクシーで、「ん・・・」と華代は声にならない声を出してしまった。
「さ、されてない・・・」
声も切れ切れに答えると、悠は、抱きしめた腕の力を緩めて、私の肩を掴み自分の方に向けた。
悠は、完全に男の目になっていた。
華代は、その目に見つめられるとググッと引き込まれそうになる。
「じゃぁ、こんなことは?」
そう言うと、悠は華代にキスをした。
それは、嫉妬に狂ってしまった悠の感情のように激しかった。
「ゆ、ゆう・・・」
「そんな声で名前を呼んだらあかんよ・・・ここで襲うよ・・・」
そう甘く耳元で囁く声で痺れてしまいそうになったが、悠の目は真剣で、危機感を感じてしまうくらいだった。
「なぁんてね」
急に笑顔になり華代から離れた悠は、同窓会委員の仕事を再開させた。
「・・・・・・」
窓際に残された華代は、呆然としていた。
「何?華代、そんなとこで突っ立って。したかったの?」
しれっとそんなことを言う悠は、さっきまでの男の目をどこかに隠してしまったようだ。
「ち、違うし!」
「でもさ、学校の教室とかって、興奮するよね〜」
「へ、変態!」
「冗談、冗談。・・・半分ね」
「・・・・・・」
恥ずかしげもなく話す悠に、華代は呆れていたが、隣に座り作業を始めた。
真面目に作業をする悠の姿を横目に見ながら、彼の変貌振りに驚いていた。
「華代、早く終わらして帰ろう」
「あっ、帰りに眞中くんと話するから先に帰ってて」
「嫌。僕も行く」
嫉妬心の強い悠が高校生といえども男の子と二人で会うのは許してもらえるわけはないので、華代は了承した。
そのあと、頼まれていた作業も順調に進めることができ、6限目が終わる頃には帰る準備ができていた。