あらしのよるの…お話
とりあえず、文系の国語から始めることになった。
すると、数羊の鞄の中から現代文と…ゲッ…古文の教科書がドサドサと出された。

「俺…古文大好きなんだよな~!!」
「そうですか…。」
俺のわざとらしさがばれたのか、鞄の中に現代文がしまわれた。

「好きな方からやった方が…はかどりますよね~。ウフッ」

数羊…怖いんだけど…!!

………。

「では…この文を訳してみて。」
「わかんね!!」
「…考えてないでしょ!!」
「ばれた?」
だって、本当にさっぱりわかんねえんだもん!!

「全く…。ここはわかるでしょ。」

~者、ありけり。

「…ありけりって何?」
「これは、『ある』と『けり』がくっついた言葉で…」
そう言いながら、数羊は、俺の教科書に蛍光ペンで線を引いていく。

「…で、ありだから活用形は?…しほ君?」
「…わかんね…。」
「じゃ、活用の種類は?」
「…。」
俺がジェスチャーで、首をかしげると、数羊は硬直してしまった。

「…なんか…ごめんな!!俺…バカだし!!」
「…僕と勉強するときは、自嘲的な発言禁止ですからね!!」
…ジチョウテキ?

それから、数羊は細かくまー分かりやすく、活用の種類だの活用形だのを説明をしてくれた。

だから、教科書の問題は全く解けなかった。

「全然進められなくてごめんね…僕の責任だ~。」

俺は、首を横にブンブン振った。
「そんなことねえって!!だって、めちゃ分かりやすかったもん!!先生よりも!!ありがとな!!」

俺が、必死に訴えると、数羊は顔をあげた。
「こちらこそ。誉められると…照れるね…
あは。」
嬉しそうに微笑んでたかと思ったら、次は真っ赤になって頭をポリポリと掻いた。

何だ?この小動物!!かわいすぎだろ!!

つい俺は、数羊の頭を撫でた。
数羊は驚いたように…上目遣いで見つめてきた。

これ、女にやられても何ともなかったのに…俺…すごいドキドキしてる。

俺…どうしちゃったんだろ!!
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