桃から生まれなかった桃太郎
太郎は、キジの話をじっと聞いていた。キジは続けた。

「それに、今さら母に会ったところでなんになる。

一緒に幸せにくらしましたとさ、じゃあ、まるで昔話の結末じゃ」

キジはおどけて笑った。

そういえば太郎は、母に会いたいとは思ってはいましたが、

母を連れて帰った後のことは、まったく考えていませんでした。

母を連れ戻し、村に帰り、おじいさんとおばあさんと一緒に、またあの退屈な村で暮らすのか。

それよりも、どこまでも続く自由のほうが数倍魅力的な気がしました。
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