桃から生まれなかった桃太郎
キジは、少し微笑みました。

そして、こういいました。

「さて、そろそろ行くとするか。

あの山の向こうまで。

おまえが本当に自由になったとき、また会えるかもしれぬな。

そういえば、鬼の住処には、桃の木がたくさん植わっておるらしい。

まあ、うわさじゃが。」

キジは太郎を残して立ち去りました。


一人残された太郎は、自分の言葉をかみしめていました。

「おれは本当の自由を知るために、自分を知りたい」
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