桃から生まれなかった桃太郎
【3】
太郎はたえの顔を真っ向から見て、
やはり自分の母だと確信しました。
闇のように黒い瞳とつややかな髪は、自分とそっくりでした。
母もそれを分かっているに違いありません。
でもなぜ、「おまえの母だ」と言ってくれないのでしょうか。
こんなにもその言葉を待っているというのに。
そう言ってくれさえすれば、
母を連れて、村へ戻ることができるのに。
やはり自分の母だと確信しました。
闇のように黒い瞳とつややかな髪は、自分とそっくりでした。
母もそれを分かっているに違いありません。
でもなぜ、「おまえの母だ」と言ってくれないのでしょうか。
こんなにもその言葉を待っているというのに。
そう言ってくれさえすれば、
母を連れて、村へ戻ることができるのに。