桃から生まれなかった桃太郎
太郎はもう一度、叫びました。

「かあさん、村に戻るんだ。

おれと一緒に戻るんじゃ」


たえはうつむき、静かにかぶりを振りました。

太郎はその姿に目を疑いました。

そして、もっと大きな声で叫びました。


「かあさんは、自由になりたくないのか。

おじいさんとおばあさんに会いたくないのか。」

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