桃から生まれなかった桃太郎
たえは続けました。

「太郎、おまえがこの身に宿ったとき、

私とこの父はどんなに喜んだか」


太郎は吐き捨てるように言いました。

「信じるものか。鬼の子を孕んで、嬉しかったなどと。

それならば、なぜ、おれはかあさんに育てられなかったんじゃ。

それは鬼の子だからじゃ」


たえの目から、大量の涙がこぼれ落ちました。
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