桃から生まれなかった桃太郎
満月が、父と母の顔を明るく照らしていました。

もう二度と会うことはないだろう二人の顔は、

泣きながら笑っていました。

月の光は二人の輪郭を切り取り、

遺影のように太郎のまぶたに焼きつかせました。
< 195 / 200 >

この作品をシェア

pagetop