桃から生まれなかった桃太郎
男はたえにたずねました。

「お前、鬼を見たことがあるか?」

「見たことはないけれど、聞いたことはあるわ。

大きくて、野蛮で、肌の色が変わっていて、頭には角が生えているって。

女や子供をさらって、食べてしまうって・・・」

男は、にやりと笑いました。

「もし、俺が、その鬼だったとしたら?」

たえは、ぷっと吹き出しました。

「そんなはずはないわ。あなたの頭に角があるの?」
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