桃から生まれなかった桃太郎
太郎の言葉に、おじいさんとおばあさんは顔を見合わせて笑いました。

実に若者らしい無鉄砲な考えだとおじいさんは思いました。

おじいさんもかつてはこの村を出ようと考えたことがありました。

おじいさんは、太郎の成長を喜ぶような気持ちにもなりましたが、それを悟られないようにわざと厳しい顔で言いました。


「太郎、村を出て何をするつもりじゃ。

この村を出ても、その向こうの村も、また向こうの村も、同じような村にすぎぬのに」
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