桃から生まれなかった桃太郎
おばあさんは続けました。

「鬼はとてつもなく大きくて強い。太郎、おまえのかなう相手ではない。

娘だけでなく、おまえまで失くしてしまったら、

おじいもおばあもこれからどう生きればよいというのじゃ」


おじいさんもきっぱりと言いました。

「今おまえがここに生きていることは、

父と母のないおまえを、おじいとおばあが懸命に育てたお蔭だということを忘れるでない。

おまえがこの村を出るということは、

おじいとおばあの恩をあだで返すということだと思い知るのじゃ。」
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