桃から生まれなかった桃太郎
太郎は、今ほどおじいさんとおばあさんを、他人だと思ったことはありませんでした。

おじいさんとおばあさんのお蔭で、ここまで育ったことはよくわかっていました。

だからこそこれまで、二人を助けて働いてきたつもりでした。

太郎の目には涙が浮かびました。

しかし、言い返す言葉がありません。おじいさんの言葉が耳にこびりついて離れませんでした。


「おじいとおばあの恩をあだで返すのか」
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