桃から生まれなかった桃太郎
おじいさんも、おばあさんも、

くすくったいような喜びに包まれていました。



赤ん坊を抱きかかえたときのしっかりとした重さ。

あたまのてっぺんからにおいたつ、汗の香り。

ばたつかせる足の力強さは、生命そのものでした。

競い合うように赤ん坊を抱きかかえる二人に、

子供のいるかつてのあたたかいぬくもりが、

またよみがえってきました。

そうです、この年老いた夫婦には、一人娘がおりました。


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