桃から生まれなかった桃太郎
太郎はたずねました。

「おまえの、両親は、心配しとらんのか」

キジはニヤリとしながら言いました。

「心配するも、せんもない。おいらはみなしごじゃ」

太郎ははっとして口をつぐみました。

「ははは、太郎とやら、気にせんでええ。みなしごはみなしごじゃ。

嘆いたところで、父上と母上がかえってくるわけじゃない」

身なりのわりには上品な言葉使いに、太郎はキジのことをまじまじと見つめました。

キジは、自分の身の上を、ぽつぽつと話し始めました。
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