桃から生まれなかった桃太郎
「わたしの父上は侍だったんだが、争いごとがもとで死んでしまった。

母上もおなじように死んでしまった。

まわりのいろんな人もやっぱり死んでしまった。

それでわたしはみなしごになったんじゃ」

キジは、かわいた声で話しました。

「わたしは、みなしごになったが、自由にもなった。

剣の稽古も作法もない。ただ気の向くままに歩くだけ。

まあ、腹がへっても食い物のない不自由はあるけどな」
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