図書館からはじまる



いつもの時間になり、太田さんが来た。


河野さんと何やら話をしている。


きっと、河野さんが食事のことを報告しているのだろう。


そしてその後太田さんは、いつものように本を選びカウンターに持ってきた。


「これ、よろしく」


「はい。お預かりします」


「連絡はあった?」


「それが、昨日捕まったらしいです」


「よかったな」と言われたが、心から喜べないと思っていたので、それが顔に出てたのだろう…


「なんだ、嬉しそうじゃないな…」と言われ、複雑な胸の内を少しだけ口走ってしまった…


すると、突然…


「ねぇ、今日さ、帰り待っててもいい?」


「え?あ、は、はい…」


戸惑ってしまい曖昧な返事をしてしまった。


「瞳子さん、誘われたんですか?」


「…はい。そういう櫻子さんも誘われたんですか?」


「はい。お互いよかったんじゃないですか?」


「でも、私の場合は太田さんが、薗田さんの捕まった話が聞きたいだけじゃないでしょうか?」


「そうですかね…私にはそうは見えませんでしたけど…」


櫻子さんの言っている意味があまりわからず、私は帰る準備をした。


櫻子さんと外に出ると、河野さんと太田さんが待っていてくれた。


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