図書館からはじまる



「お待たせいたしました」


「お疲れ様でした。さっ、行きましょう。櫻子ちゃん」


「まっ、お二人で待ってて頂いたんですね…
保さん。行きましょう。お二人でごゆっくり…」


「どうも」


河野さんと櫻子さんは、すぐに二人で行ってしまった。


私たちは、暫く沈黙したまま、去ってしまった二人を見ていた。


太田さんと二人っきりになるのは、太田さんに抱きしめられて以来だから、なんだか緊張してしまう…


けど、私は話を切り出した。


「心配して頂いてありがとうございます」


「いや、俺、あいつのこと許せないだけだから」


「太田さん、お食事いきませんか?私、食べたいものがあるんです」


「おお、行こう」


太田さんには色々とお世話になった。


お礼のつもりで食事に誘った。


たとえ太田さんが、興味本位で食事の誘いを受け入れてても、一緒に食事が出来るだけでも私は、嬉しい。


「ここでいいの?」


「はい。私、すっごく好きなんです。ここが」


廻るお寿司は、私がとても好きなところ。


小さい頃に、父と母と一緒によく来ていた。


母がお寿司が大好きだった。


「カウンターの寿司屋とかでもいいのに」


「私、ここに来るとワクワクするんです」


「そうなんだ…」


「もしかして、太田さん来たことないとか?」


「あ、あるよ…」


「本当ですか?」


「1、2回ぐらいだけだけど…



「そんなに少ないんですか?
やっぱり、いいお店でしか食べないんですね…」


「だから、そんなことないって!」


「まっ、行きましょう」


「ああ」


とても、楽しく食事が出来て、会話も弾んでいいお食事だった。


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