図書館からはじまる



それから、一ヶ月間はめまぐるしく過ぎていった。


一ヶ月の間、瞳子は土日のどちらかを休みにして、その前日に泊まりに来てくれた。


一ヶ月の間に祖父は元気に退院した。

人事部の最終日に送別会をしてくれた。


「太田さん、寂しいっすよ。俺、尊敬してます!」


「田之上、お前俺とあんまり関わりなかっただろ?!」


「いや、影ながら尊敬してました」


田之上の横にいた日比野も会話に入ってきた。


「太田さん、俺のほうが尊敬してます!」


「田之上はまだわかるよ」


「おおた〜俺も尊敬してます〜」


「松田、酔うの早いよ!」


「だってさ〜明日から太田いなおんだぞ…」


「俺は、明日から過酷な日々が始まるんだ。プレッシャーに追われて…」


「おお〜怖っ!」


「そうだろ?」


「けど、俺のこと昇進のさせてくれよな」


「本当、調子いいよな…」


そんな話をしながら送別会が終わった。



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