図書館からはじまる
全員は揃っていないようで、出発はまだしない。
「瞳子さん、大丈夫ですか?」
前の座席から、櫻子さんが顔を覗かせてきた。
「はい。櫻子さんこそ大丈夫ですか?」
「は、はい。少しだけ落ち着いてきました」
櫻子さんと私の席の通路を挟んで、隣の席に男性が座った。
こちらを向いて、会釈してきた。
あっ、と一瞬驚いてしまったが、会釈で返した。
「え〜では、皆様、お揃いのようなので出発致します」
先ほどの磯貝さんがアナウンスしている。
「この度は、ご参加いただきましてありがとうございます。
今回は、男性が10名、女性が10名、合計20名のご参加となっております。今回の同行をさせて頂きます、磯貝奈美子と申します。宜しくお願い致します」
どんなルートで、どこに行くかなどを丁寧に説明してくれた。
そのあと、一人ずつ冊子が渡された。
「本日一日のスケジュールと先ほどの、ルートや場所もそちらに書いてあります。あと、皆様にこれからのお相手探しに、重要な説明を15分程、DVDにて流しますのでご覧になってください。では、本日は宜しくお願い致します!」
DVDは、ここの結婚相談所らしきところの宣伝だった。
それと、このバスツアーの説明だった。
今から、自己紹介があって、冊子についている紙を切り取り、第一印象が良かった方の名前を書き、降りる時に回収する。
キャンプ場に着いたら、クジ引きで、5つのグループに分かれてバーベキューをする。(因みに行き来は自由)
どちらから誘っても良くて、釣りやちょっとしたスポーツも出来る。
帰り際に、最終で誰が一番良かったかを紙に書く。
お互いが相思相愛だったら、カップル成立!!
バスの中は、一緒に座れる。
それ以外の人は、後ろで自由席。
と、まぁこれが一連の流れです。
「櫻子さん、じ、自己紹介があるんですね?」
「そのようですね」
「余計に緊張します…」
「マイクが回ってきますよ…恐らく、後ろからです」
「ええ?」
「もちろん、一番は男性ですが…次は瞳子さんです」
「はい…」
「大丈夫ですよ、僕が一番なんですから」
と、隣の席の男性が話かけてきた。
「あっ、すみません」
「いや〜、謝らないてください」
男性は、照れながら言った。
「頑張りましょう」
その後、「一番後ろから自己紹介をして頂きます」と、アナウンスされて…