図書館からはじまる
有紗からの連絡は、あれから3日後にあった。
『宗輔、やっぱり私、宗輔が好きなの。だから、別れたくない』
『俺は、別れたいって一言も言ってないけど…』
『そうだった?』
『あぁ…けどさ、ちょっと距離置かないか?』
『え〜やだ!』
『ちょっと考えさせてほしい…』
『そのまま別れるって言わないでよ!』
『ごめん、それも含めて考えるわ。じゃあ、切るわ』
そのまま電話を切った。
もう一度、有紗のことについて考えよう。
それにしても、こんなに彼女について考えたのは、初めてかもしてない。
色んなことを考えた。
ピンポーン
突然インターホンが鳴った。
「はい」
「あっ、宗輔!開けて!早く!」
「は?いきなり来て何?」
「いいから開けて!」
俺は、仕方なくオートロックを開ける。
オートロックの入り口から俺の部屋に来るのに少し時間がかかるので、ドアを開けて待っていた。
「そうちゃ〜ん」
満面の笑みで走ってくる、宝。
「おっ、宝、また、おっきくなったな」
「そうちゃん、だっこして」
宝は、両手を挙げて催促してくる。
「よ〜し、おっきくなったと思ったら、重くもなったな!」
「えへへ」
「はい、宗輔!荷物持って!
宝、降りなさい」
「は?ねぇちゃん、どうしたんだよ」
「入るよ」
俺の姉美里。
年は、俺の4つ上の30歳。
そして、この可愛いのが、宝、3歳。
姉は、時々こうやって突然やって来る。
原因は、きっと旦那の浮気…
旦那の弘(ひろむ)さんは、とても人が良くて、相手の人も、姉も勘違いする。
弘さんがいつも迎えに来て、仲直りする。
ん?
今回は、なんかいつもと違う?
「ねぇちゃん、なんかいつもと違うな〜」
「今は、話したくない…
そっとしてて!部屋借りるよ!
宝をよろしく!」
姉は、俺の寝室にこもってしまった。