図書館からはじまる
「どういうことだよ」
「さっきの女性…」
「さっきの?」
保と話をしていた人か…
俺は、のっぽさんではないことを確認してほっとしていた。
保が言っていた、さっきの女性とは、俺が図書館に来た時に保が喋っていた女性のことだ。
「俺も、なんか借りようかな?また、図書館に来れるし」
「あぁ」
俺は、本をまた、二冊手に取りカウンターに持って行った。
やっぱりのっぽさんはいなかった…
さっき、保と話をしていた女性が対応してくれた。
「お願いします」
「お預かり致します」
「あの…」
「瞳子さんですか?」
「はい…休みですか?」
「今は、事務所の仕事をしています」
「そうですか…」
「宗輔さん」
「え?」
なんで、この人俺の名前…
「カードを出していただけますか?」
「あの、以前会ったことが?」
「ええ、ん〜25年ほど前に」
「25年?」
25年?俺、1歳だよ…
「私、一乗寺櫻子と申します」
「なんか、聞いたことあるな。櫻子さん…」
「美里さんと三人でよく遊びましたよ。小さい頃に」
「なんとなく覚えてるな…」
一乗寺…
確か、祖父の知り合いでいたな…
小さい頃に、祖父に連れられて、姉と一緒に一乗寺家に行き、たくさん遊んでくれたお姉さんがいた。
それがこの一乗寺櫻子さんか…
それにしても、綺麗な人だな。
保が一目惚れするなんて珍しい。