図書館からはじまる



次の日、私の頬は少し腫れていた。


薄いけど、掌の跡が残っていた。


マスクで顔を隠すしかないな…


朝食を済ませて、出勤すると、途中で、櫻子さんに会った。


「おはようございます。櫻子さん…」


「あら?どうしたんですか?風邪ですか?」


「いいえ」


櫻子さんには、昨日の出来事を話した。


「失礼な方ですね。あら、少し腫れてますね。掌の形ありますね」


「そのためのマスクです」


「なるほど。
宗輔さんは、彼女がいたんですね」


「そうみたいです」


「昨日は会えたんですか?」


「はい」


「なるほど」


「何のなるほどですか?」


「瞳子さん、気になってますね?宗輔さんのこと…」


「…」


「あっ、図星ですね?」


「彼女がいるので、諦めます」


櫻子さんには、ばれてしまった。




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