図書館からはじまる



今日は、この後薗田さんに食事に誘われている。


待ち合わせ場所は、以前と同じ婚活パーティのバスの集合場所になった駅。


薗田さんに会うのは、これで三回目。


「瞳子さん!」


薗田さんは、大きく手を振っている。


少し恥ずかしい…


「お久しぶりです」


「本当だね。元気だった?」


「はい。お仕事忙しいんですか?」


「まぁね…休みが取りにくいだけで…」


「そうですか」


「まあ、今日はこうして瞳子さんに会えたからうれしいな」


「あ…どうも、ありがとうございます」


「今日はさ、車で来たんだ」


「そうなんですか?」


「どこかいきたいところってある?」


「特にはありません」


「そっか、よし!美味しい鶏料理のお店があるんだ。そこでいいかな?」


「はい。お任せします」


薗田さんの車でそのお店に着いた。


そこで、食べた鶏料理は本当に美味しくて、今までに食べたことがなかった。


食事も終え、車に乗って私はお礼を言った。


「本当に美味しかったです。ありがとうございました」


「よかった。喜んでもらえて」


私は、運転をしている薗田さんを見た。


すると、薗田さんはチラッとこちらを見て微笑んだ。


目があった瞬間、ドキっとしてしまい、すぐに目を逸らしてしまった。


「瞳子さん」


「は、はい」


薗田さんは、運転しながら言った。


「俺と付き合ってもらえませんか?」


「え?わ、私とですか?え?あ…」


「びっくりさせてしまったね…」


私は、突然のことで本当にびっくりして、手に持っていたカバンを足元に落としてしまった。


薗田さんは、車のスピードを落として、待ち合わせた駅近くに車を停車させた。


車が止まってから、カバンを取った。


「大丈夫?」


「は、はい。
薗田さんとはまだ、3回程しかお会いしていません…もう少しお時間をください」


「急でないから」


「…はい」


私は、薗田さんの車から降りて家路に着いた。





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